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しかし、決してそんなことは無かった。戦場に出たチームメンバーの割合が圧倒的に違ったのだ。
『帰還派』が一部の有志を集って大虐殺を行おうとしたことに対し、『残留派』が取った手は「チームメンバー全員による抵抗」。
老若男女など関係ない。そもそも、この世界の戦いはスキルの撃ち合いだ。体格差も筋力の差もそこまで絶対的な差とは成り得ず、より上手くスキルを使った者が勝利する。
さらに、『残留派』は生き残る為に必死であり、そのチームの方針、性質から『帰還派』よりも圧倒的に「この世界での生き延び方」について熟知していた。
そして、スキルそのものの絶対的な強さ。その質が『残留派』の方が圧倒的に良かったのである。
別段、おかしいことはない。この世界に適応しようとしなかった者達と、この世界に適応しようとした者達とで強さに差が出ただけだ。
『残留派』の命懸けの抵抗により、『帰還派』の作戦は失敗に終わる。
そして、一年半の間続く戦争が始まった。
規模としては、元の世界での戦争と比べて明らかに小さい。所詮、武器は近接武器が精々、人口自体も少ない。言えば、古代や中世の戦いである。
しかし、それぞれの戦場の凄惨さはその比ではない。なんて言ったって、石ころの代わりに飛び交うのが七色の光線やら大規模殲滅魔法の類だ。
並みの危機管理能力では、生き延びることがまず難しい。
僕も戒斗も、最前線で戦っていた。というより、出会ったのがその戦場だったのだ。
「オレには今でも信じられねぇよ、あの戦場をスキル無しで駆け回ってた奴がいるとか」
呆れた表情で再度肩を竦める戒斗に僕は苦笑いを返す。
「って言っても、四葉や燐姉さんと一緒に救護班として働いてただけだから、主な戦場には出てないけどね」
最終的に、お互いのチームから戦争に疲弊した者達が次々に脱落していき、『帰還派』から永世中立チーム『ラグナロック』のリーダーがメンバーをごっそり引き抜いて脱退したことにより戦争は終結した。
皮肉な話だ。最終戦争の名を持つチームが、戦争終結の要因だったのだから。
「……けど驚いたな。戒斗にとっては、あの戦争の話はタブーだと思ってたんだけど」
「そうでもねぇよ。俺の出が出だから話を始めると、ちと気まずいだけだ」
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