道中、盗賊注意

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「おらっ!」 突進と同時に斬りかかってくる戒斗。剣で流し、やり過ごす。 「あー、くそっ! 全然手応え無ェんだけど!」 文句を言いながら、振り返って斬りかかってくる。 しかし、それはどうしようもない話だ。 スキルの使えない僕が、スキルを付加した剣撃をまともに剣で受けると刀身が耐えきれずに折れてしまう。 これは先の戦争時に僕が生き残る為に体に染みこませた癖なのだ。 再び刀身で攻撃を流す。 金属が擦れる音と共に火花が散り、体から紙一重の場所を剣が通り過ぎる。 僕の剣が戒斗の胸を斬りつける位置で止まろうとするが、戒斗は身を翻らせて回避する。 ギアがかかってきたようだ。戒斗の動きにキレが出てくる。 こうなると簡単に一本取る事は難しい。 戒斗はかなり本気になっているようで無駄口がどんどん減っていき、遂には無言でひたすら打ち合う形になる。 ひたすら打ち込んでくる戒斗に対し、僕はバックステップを多用しながら受け流していく。 金属のぶつかり合う音。靴底が地面を擦る音。時折散らされる火花が場を支配する。 「っ……!」 遂には戒斗の剣が僕を捉え、僕は仕方無く真正面から受け止める。 「オラッ……! 捕まえたぜ!」 ギギギ、とプレートアーマーの重さを活かして押し込んでくる戒斗。 このままではそのまま押し切られて斬りつけられるだろう。しかし、 「よっ」 僕は戒斗へ足払いをかける。 「どわっ!?」 堪らず転倒した戒斗の首筋に剣を当て、 「一本」 ガントレットで勢いよく地面を叩く戒斗。 「あー、クソッ! 負けた!」 それとほぼ同時に《プロテクション》の効果が消える。 僕は剣を鞘に収め、息を整えつつ聞く。 「戒斗、結構その剣に慣れてきた?」 「あー……? まぁ、最初の頃よかいくらはな」 拗ねたような表情で起き上がった戒斗も剣を鞘に戻す。 前にも言ったが、『フラグメント』のメンバーの装備は全て我がチームの職人、文典さんのオーダーメイド品だ。 耐久性、切れ味、重さ、それぞれダンジョン発掘物の装備に劣らない性能を誇る。
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