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「弥生さん! 今の所、確認できる人数は二十三人!」
「分かった! リーダーは引き続き、後方をお願い!」
「了解!」
とは言ったものの、先述した通り僕は戦力として余り役に立たない。
精々、死なないように立ち回りながら足止めするくらいだ。
「《マジックソード【土-テラ-】》!」
燐姉さんの方を見てみると、土属性を付加した双剣で応戦していた。
燐姉さんの主要スキル《マジックソード》は、自らの剣にあらゆる属性を付加させることができる。基本の四属性【火・水・風・土】に加え、【氷】、【雷】など熟練度に従って様々な属性を扱えるようになる。
熟練度とは如何にそのスキルを使いこなせているかを示す見えない指標だ。数値では表せず、スキルを使えば使うほど無限に成長していくとされている。
この世界ではスキルを使う際に魔力などは必要無いが、その代わりに幾らか疲れるらしい。
疲れ具合は人にもよるが、初めて《クーデュベトン=フラム》を放った際の賢十は全身汗だくで寝返りも打てないくらいまで疲労していた。
しかし熟練度が上がるにつれ、その疲れも段々と軽減していくそうだ。
熟練度が高ければ高いほどスキルはより強力に、より低疲労で扱えるようになるのである。
黄色の光を纏った二本の剣を地面に突き刺すと、燐姉さんの前方の土が盛り上がり、途端に巨大な土壁が形成される。
「うわぁあああああっ!?」
運悪くその上にいた盗賊の男は燐姉さんに斬りかかってくる勢いそのまま、馬車を飛び越えて右翼を守っていた文典さんの方へ飛んでいってしまった。
ダガーナイフに武器耐久性強化スキル《デュラブル》をかけて地道に応戦していた文典さんは、飛んできた男のみぞおちへ片手間に一撃を加えて意識を刈り取ると、苦笑いをする。
「燐さーん、お願いだからこっちに敵押し付けないで? 俺、そんなに強くないんだからさー」
「不可抗力! 許して!」
「はいはーい」
俺は強くない、とは言いながらもスキルを纏わせて斬りかかってきた盗賊の剣をダガーで受け止める文典さん。
燐姉さんは《マジックソード》の属性を【雷】に変更し、土壁を回り込んできていた盗賊達に片端から電撃を流して戦闘不能にしていく。
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