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元々、文典さんは職人系スキルにキャパシティを多く取られてしまっている為、戦闘系スキルはそれほど種類が無い。
しかし、そのおかげか、その使いこまれた戦闘系スキルの熟練度が大変なことになっており、文典さんの《デュラブル》で強化された武器は、戦争で使われた最高火力を誇る魔法であっても余裕で受け止められるくらいに強度が増す。
スキルを受け止められて隙を作ってしまった盗賊に足をかけて転ばせ、その上で顎を蹴り飛ばして意識を持っていくなど、玄人染みた動きで文典さんは盗賊を片付けていく。
しかし、そんなこんなで戦いを始めて五分も経てば、相手も段々気付いてくる。
後方が酷くザルな守りではないかと。
進行方向から現れた盗賊達だったが、それに気づいてからは回り込んで僕と四葉を狙って襲ってくるのだ。
予想通りに茂みから現れた男が僕に向かって怪しい光を帯びた小斧を振り下ろすが、僕はそれを剣で受け流す。
《プロテクション》は肉体に加えて武装も幾らか強化してくれるからこそできる芸当だ。
スキルで保護せずに斧なんかと渡り合ったら剣へのダメージが酷いことになる。
さて、まだ相手の盗賊のスキルの効果が判明していない。
が、問題は無い。
「ホ、《ホーリーレイ》!」
僕の後ろに控えていた四葉の杖から、直径三十センチほどのレーザーが飛び出し盗賊の腹部に直撃した。
「がっ──────!?」
もろに《ホーリーレイ》を食らった男は悲鳴を上げながら吹っ飛んでいく。
見た目が完全にレーザーなのに貫通しないのは謎だ。男が五メートルほど吹っ飛ばされていることからも、威力不足では決してない。
受けた方としては全力でぶん投げられたバスケットボールを腹部に食らった感じだ。
とある理由で食らったことがある僕が言うのだから間違いない。
実際、男は小斧をあらぬ方向へ投げ捨てた状態でのびている。気を失っているらしい。
続いて、二人目、三人目と後方狙いの盗賊達が現れる。こうなるともう、僕に戦況を気にしている余裕は無くなる。
ひたすらスキルを避けて、受け流して、四葉に《ホーリーレイ》で戦闘不能にしてもらう作業の始まりだ。
しかし、盗賊の方も、物理的に攻撃してくる相手ばかりとは限らない。
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