魔剣の山

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「まるで、実際の『ドラゴン』を見たことがあるかのような口振りだね、戒斗」 「ん……ああ。『ラグナロック』のリーダーが乗ってるとこ、前に見たことがあったからな」 「あぁ……そうか」  弥生さんの言葉に対する戒斗の答えに、僕は納得する。  『ラグナロック』のリーダーは、『ドラゴン』を召喚するスキルを持っていることで有名だ。 召喚した『ドラゴン』に騎乗し、槍を振りかざして戦場の最前線で戦う姿を見た者が付けた通り名は『ドラゴンナイト』。 とてつもない強さを誇ったとされているが、『残留派』のとある人物が放ったスキルで撃ち落とされ、その時に負った重傷が原因で第一線を退いたと聞く。 しかし、その強さを失ってもなお本人の持つカリスマ性は失われず、大量のメンバーと共に『帰還派』を後にした。 と、僕は噂で聞いた。 「……ってか、これ結構ヤバくねぇか。いつの間にか『ワイバーン』のテリトリーに踏み込んでたってことだろ? 三人であれ相手すんのはキツイとかいうレベルじゃ……」  顔を引きつらせて言う戒斗。 「そうだね。見つかる前に逃げ帰るのが最善手だ」  同感の意を示し、仕留めた『ユニコーンラビット』を僕の持っていたバスケットに放り込んだ弥生さんが来た道を引き返し始める。 戦闘において役立たずの僕が荷物持ちになるのは必然だ。進んでやらせてもらっている。 「それにしても、あの『ワイバーン』一体どこから来て……」  『ワイバーン』は基本的に、山の山頂付近や洞窟の中に巣を作るとされている。 しかし、この近くにそんな物は……、 「……あ」  『ワイバーン』がまた現れはしないかと、空を見上げながら戒斗と弥生さんと共に帰路を急いでいた僕は、不意に木々の枝と枝の隙間から、遠くに見える山を見つけた。 丁度、『ワイバーン』が飛んでいった方向と合致する。 何故かその山の上空だけ黒い雲が渦巻き、なんとも禍々しい雰囲気を醸し出していた。 「弥生さん、あれって……」 「ん……?」  僕の指差した方向を見た弥生さんが眉をひそめる。 「何だ、あの瘴気の量は……?」 「あぁ……? 瘴気……?」  弥生さんの言葉に反応した戒斗も同じ方向を向き、数回瞬きをした後に一言。 「…………何だ、ありゃ」
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