孤高の嘆息、偏執の寵愛

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  「機嫌の良し悪しとか、 ああ今ハラ減らしてるんだなとか。 そんなのは判るぞ。 ……けど、お前が俺を見る、 あの潤んだ目。 好かれてるのか 憐れまれてるのか…… 全然判らなかった」 「……好きで仕方なくて、 目が離せないんだよ…… そんなこと、今も同じなのに。 ていうか、お腹減ってたとか、 今関係なくない……」 「いや、 お前が腹減らしてるって判ると、 意味なく焦る」 「……」 「だから、あんな町からは さっさと出てって、 お前と2人で暮らしたかった」 「え?」 拓海さんは大きく息をつきながら、 あたしの身体を少し離した。 深い漆黒の瞳が、 気まずそうにあたしを覗き込む。 .
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