27人が本棚に入れています
本棚に追加
「あ、あの…リュウがベリアルと契約してるみたいなんですけど、あと、ベリアルが…」
私が言いかけたところでザドキエルが話し出す。
「ベリアルとあの人間との間の契約はベリアルを地獄に送った時点で破棄されました。他の人間達からのエネルギー吸収も止めました。そしてあの人間からはベリアルと貴女の記憶を消してあります。」
ホッとして笑顔になるけど…急に寂しい感情が生まれて、胸が締めつける様な切ない気持ちで、笑顔なのに涙がポロポロと落ちた。
「あ、あれ、なんだこれ。ホッとして…私…あはは…」
みんな何も言わずに私を見つめている。
リュウの記憶から私は消された。
当たり前だ。
その方がいいに決まってる…。
だけど、だけど胸が張り裂けそう。
リュウはベリアルから解放されて、きっと元気になるだろう…。
きっと…。
涙が次々溢れる。
「もう心配事はない筈。私と天へ行くのです。こんな辛い目にあったのだから、神も貴女の行いをお許しになりますよ。さぁ…」
ザドキエルはもう一度私の手を握り立ち上がる。
「待って!あの…私今、何者なんですか?人間を傷つけて生きなければいけない悪魔ですか?」
ザドキエルは無表情で私を見つめる。
これから人間を脅かす悪魔になるのなら、それなら私はザドキエルと共に天に行こうと思った。
「貴女の魂は一度は悪魔の血により汚れましたが、私が浄化しました。貴女はまだ魂のある幽体です。このまま地上に留まるなら、その魂は悪魔に狩られ、永遠にその悪魔の配下、下僕として生きなければいけません。永遠とは、終わりのないという事ですよ。」
ザドキエルは言い終えるとグイと私の腕を引っ張る。
「私と行くのです。」
ザドキエルに無理矢理腕を引っ張られカインの前を通り過ぎる。
するとカインが私の左手を掴み引っ張る。
「待てザドキエル、悪いが俺が先だ。」
ザドキエルが振り向きざまに剣をカインに向ける。
「ベルフェゴール!貴様まだそのような…」
「うるせーよ。こいつは俺が先に見つけた魂だ、余計な事するな!」
カインがグイと私を引っ張るとザドキエルは私の手を離してしまい、カインの胸に顔が埋まる。
ゆっくりカインの顔を見上げるとカインの顔が近づいてきた。
そして私はみんなの前でカインに口づけされた!
最初のコメントを投稿しよう!