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突然の事に目を開けたままカインの口づけを受けた!
驚いて顔を背けてもカインの唇が追いかけて来て無理やり私の唇に強引に重ねる。
カインの冷たい唇が私からゆっくり離れると私を後ろに回す。
皆、唖然としていた。
「おのれ!ベルフェゴール!!」
ザドキエルが大きな剣を振り回す。
するとアベルがザドキエルの剣を掴む。
「待ってくれ!」
アベルが静かに言った。
「カインはキョウカをずっと守ってきたのだ。キョウカが幼い時からずっとだ。」
ザドキエルがゆっくりアベルの方に振り返る。
「守る?ベルフェゴールが人間を?人間嫌いで特に人間の女が嫌いなベルフェゴールがこの娘を守っていただと?バカバカしい!」
アベルが真剣な表情で話し始める。
「幼いキョウカが最初に悪魔に会った時、偶然カインがその現場を見かけて、それからキョウカに興味を持ったのだ。最初は、悲しみや、苦痛、不幸に見舞われながら生きてるキョウカがいつ狂気し、悪に染まるのか見たかったのだろう。」
アベルの話を聞きながら驚く。
私が最初に悪魔に会ったのは多分あの時!?
マッチを渡した男…。
アレはカインじゃなかった…、あの時カインが近くにいた?
「だがキョウカはその全ての苦痛に耐え切れず、悪に染まるのではなく自滅を選んだ。カインは面白くなかったのだろう。気まぐれにキョウカを助けてしまった。」
中学生の私が橋から飛び降りようとした時だ…。
アベルの話を聞きながら無意識にカインのコートを握っている私の手。
カインは無言で私の手をコートから離し、手を握ってくれた。
カイン…。
私の胸に温かい何かが生まれる。
「それからもカインはキョウカを見守るが、キョウカは急に姿を消した。自分を消して、名前を消して、過去を全て捨てて生きていた。そしてあのインターネットで二人は再会したのだ。」
あの黒魔術のページのこと?
驚いてカインの顔を見上げる。
カインは照れ臭そうに目を反らす。
「あのインターネットのページはキョウカを見つける為に作り出した物だ。昔キョウカが心酔していたあの人間に関連したページを作り、キョウカが見つけるのを待っていたのだ。」
驚いた…。
もし、あのページを開かなければ、カインは私を見つけられなかったの?
ザドキエルが鼻で笑う。
「笑わせるな。その娘を見つける為のプログラムで、他の人間達の魂を貰い受ける契約を脅し取っていた筈だ。」
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