1.始まりは、

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1.始まりは、

数年前のこと、知り合いからもらったキューバのラム酒を飲みながら、ギターを弾いていた時、 「Daddy、、、ダレ、コノヒト?」と娘は、何所から持ってきたのか、私の十代のころの作曲ノートに貼り付けてある写真を見ながら、 「Who is she?」と私を好奇心と疑いの眼で問い詰めてきた。 「彼女は昔の友達。何時か、その時がきたら話してあげるよ」と答えたが、 それでも 娘は甘えた声で、 「ナンデ? オシエテ! モシカシテ、モトカノ?」とせがむ。 「そうかな、でもそう簡単じゃないんだ。」 娘はまた、 「ナゼ?」と続けて聞き、 ラム酒を口の中でころがしながら、誤魔化そうとする私に、 「ナンデ?」とまた、ひつこく聞いてきた。 「まだ君は小さすぎて理解できないと思うよ。 もうちょっと君が大きくなったら、その時がきたらね、ちゃんと話してあげるよ、約束する」 「ヤクソク?」 「I promise, 約束するよ。 いつかね、OK?」 「OK」と娘は、半信半疑のように答えると、部屋から出ていった。 だが、その様に答えたものの、何を何から話していいのか、その時の私にはわからなかったし、今も確かじゃない。 簡単な言葉で語らなければ、気持ちはちゃんと届かないと思う。 でも、私には、そんな言語力がない。
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