第一章

6/30
前へ
/54ページ
次へ
 けれど。思い返してみれば、そう思える節もある。『オルファウス』と初めて逢った時も、ユイを背に庇うようにしてくれていたし、心配するかのような言動も、多々あったようにも思える。 「態度や口調こそ、素っ気ないけど、セラはユイを『心配』してくれてるんだよ。」  そんな風に、優しく微笑みを浮かべながら、諭すようなナッジに、ポツリと呟くように問い掛けた。 「…私が『弱い』から、信用してない、とかじゃなくて?」  最初、行動を共にするようになったのは、『成り行き』だった。それも、ユイが『セラに着いて行く』と判断したからだ。  まぁ、ユイが着いて来ることに、セラ自身が『異』を唱えることは、なかったのだけれども。 「『信用してない』人間を、わざわざ連れて歩くと思う?ましてや、パーティーを組むなんて。セラの性格は、君の方が、わかってるんじゃない?」 「………!!……ぁ」  ―そうだった。それこそが『セラ』なのだ―  自信家で、尊大で。けれども、面倒見が良くて、優しくて、人を思いやる心もちゃんと持っている。でも、それを表に出さないから、わかりにくいだけ………。
/54ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加