第一章

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 共にミイスの村から出て、今までずっと一緒に、旅をして来た。セラが『どんな人か』なんて、わかっているつもりだった。……………けれど……………    ―本当に『つもり』だったなんて― 「どう、しよう?私………全然、わかってなんかなかった…………どうしよう。」  そのことに気付いて、両手で口を覆った。セラのことを『理解』なんてしてなかったことに、申し訳なくて、情けなくて、泣きたくなった。 「謝って、ゆっくり話をしてみたら?君の話なら、聞いてくれるんじゃないかな。」  そう言うナッジに、弾かれたように立ち上がったユイは、挨拶もそこそこに酒場を出て、走り去っていった。 「ねえ、ナッジ。ユイはセラが何処にいるか、わかってるのかなぁ?」 「多分、大丈夫だよ。あの二人の『繋がり』は、きっと本人達が思っているよりも、ずっと『強い』はずだから………。」 ―ロストール郊外 森の中―  大都市であるロストールだが、少し道を外れて歩くと、小さな森がある。  城壁に囲まれている中にあるので、モンスターが出ることはない。そんな中を、ユイはセラを探し回っていた。
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