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小さいとは言え、『規模』として言えば『賢者の森』ぐらいの広さはある。ここは、ミイスの村外れの森に似ていて、ユイの『お気に入りの場所』でもある。
けれど。何故だかユイは、セラがここにいるような気がしたのだ。
暫く進むと、大樹の幹に背を預け、目を閉じて佇むセラがいた。立ったまま、眠っているはずはない。
その証拠に、さくさくと草を踏みながら近付くと、目を開けた。
「どうした、ユイ。そんなに焦って………何かあったのか?」
セラはいつもと変わらぬ様子で、そう問い掛けてきた。もう、怒ってはいないようだ。
ユイは戸惑っていた。ナッジは『話をしてみるといい』と言っていたが、何を話していいのか、わからない。
今まで、『個人的な話』をしたことなんて、ほとんどなかったのだ。
元々からして、ユイは『男性』に対して『免疫』がない。(『神官家』としては、当然かも知れないが。)
一方。セラの方も、あまり『他人』との関わりは持たず、無駄話を嫌う傾向にあるからだ。
まぁ、彼の場合は、『姉』か『アーギルシャイア』が関わる話以外はしなかったし、ユイの方も『ロイ兄様』の話以外をしたことはなかった。
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