第一章

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 『依頼』は無事に達成出来たし、徘徊するモンスターは、行きに全部倒してあったし、問題こそはなかったけれど………。 「でもぉ、気絶したユイを運んでくれたのは、セラだよぉ。それに、ユイが目を覚ますまで、ずぅっと心配してたんだから!」  ユイはルルアンタの言葉に、黙りこむ。そんなことはユイだってわかっている。そもそも、魔法力の使いすぎで『気絶』したのだって、初めてではなかった。  だが、メンバーの中で、一番魔力・精霊力共に高いのはユイで、今回のように『幽体』ばかりであった場合、他に術はない。  特に、セラの場合は、物理攻撃を得意とする分、魔力はさほど期待出来ない。ルルアンタは毒耐性と宝箱要員、ナッジは魔力こそ、高いけれど、如何せん『精霊力レベル』が、低かった。  となると、やはりユイが攻撃要員として魔法を連発せざるを得ない。更に敵が『群れ』で襲ってくるため、消費する魔力は、相当のものだった。  と。考えると、セラが己に『責任』を感じている、とも思えるが、彼の性格を鑑みるに、それはあり得ない。  だが、それは他の者に対しての話。ユイのことだけは、その限りではない。
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