深淵の使者はかく語りき

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 毎度のことだが、そんな風に言われるとガックリと肩の力が抜けてしまう。 『真実は、そこにあるだけだ。  そして私は、それを暴くだけ。  さらに君は』 「メッセンジャーとして、それを相手に語るだけ、でしょ?  分かってるよ」  今回私が荒木会長代理に聴かせた事実だって、インカムから相手が語ることをそのままに語っただけだ。  行動だって、指示されたまま。  もちろん、演出も何もかも、すべて手掛けたのはインカムの主だ。 「頭のいい人って、何考えてんだかわかんない」  この全てを『趣味』とのたまうのだ、このお方は。 『分からなくても、別にいいから。  さっさと筑紫のあを迎えに行け。  今頃、解放されているはずだ』  その言葉を最後に、相手からの通信は途絶えた。  今度通信が入る時は、またあの最強の安楽椅子探偵(アームチェア・ディティクティブ)に私が振り回される時なのだろう。 「あーあー……  平和に生きるって、難しいなぁ……」  私は伸びをしながら呟くと、のあさんを迎えに行くべく、タンッと地面を蹴って走り出した。 《END》
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