深淵の使者はかく語りき

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「……まさか………っ!!」  その光景に、ザッと血の気が下がったような気がした。  画面に映っている女は、相談会に依代とともに来ていた探偵、筑紫のあ。  彼女は今、該・黄園の第一発見者として、警察で事情聴取を受けているはず。  その彼女が画面に映っているということは…… 「ライブ放送、させてもらいました」  依代が、下ろしていた髪を左手でかき上げる。  重く垂れた黒髪に隠されていた左耳には、インカムが装着されていた。 「私の警察での正式な肩書って  『特殊犯罪課外部協力者監視官』  っていうんですよ」  依代は左手を髪の間から抜くと、人差し指を立てて唇の前に置いた。  紅を引いているはずなのに妙に色素の薄い唇が、優雅に弧を描いている。 「あの子名前はウソツキだけど、自分が探しだした真実には、嘘をつかない」  その言葉に、体中の力が抜けていくのが分かった。  これで終わったのだと、誰かが胸の内で呟く。 「もう、全てを終わらせましょう。  ……いつまでも、仮装と現実の狭間をさまよっていては、いけません」
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