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カツカツとヒールを響かせながら、手早く建物から出ていく。
撤退し損ねて所轄の刑事に捕まったら面倒だ。
「……今回もありがとね。助かったよ。
これでのあさんを迎えに行ける」
『……そこに真実があったから、伝えただけだ』
インカムに向かって話しかければ、無愛想な言葉が返ってくる。
機械で中途半端に合成された声から、相手の性別を判断することはできない。
『毎回言うけど、私はメッセンジャーとしてあなたを選んだだけ。
あなたに協力しているつもりはない』
「へーへー、どうせ私はあなたの下僕なんでしょー?」
警察官になって、最初に与えられたのが、このインカムだった。
大した説明もされないままこのインカムをつけるようになってからずっと、私はインカムの主に振り回され続けている。
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