深淵の使者はかく語りき

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 確かに、私達『銀月の会』は、隠しサイトで行われていたオンライン・テーブルトークロールプレイングが発祥であり、母体だ。  そこに繋がるパスコードを管理していたのは黄園で、そのパスコードは銀の鍵を使って伝えられていた。  そのことは事実だ。  認めよう。  その人選を私がしていたということも、彼女の風情から見るに、察しているのだろう。  だが、それが何というのか。 「……だから?  先程から、あなたの説明は要領を得ない。  要するに、何を言いたいのですか?」 「あなた達は、オンライン・テーブルトークロールプレイングゲームをしていた。  最初は、それだけで良かった。  だけどそこに『女神のような月様』が現れた。  そして、そこで何があったのかは分からないけれど、あなた達は現実世界と仮想世界の境界を見失った。  もしかしたら、そこに『女神のような月様』は関係なかったのかもしれない。  でもあなた達はとにかく、現実世界でも、贄を捧げなければならなくなった。  その贄の選定のために作られたのが、宗教団体としての『銀月の会』  今回の一連の事件は、刻刃と黄園を贄として捧げるために起こされたこと」  依代はそう言い切ると、静かに私を見据えた。  その瞳は、かつての月様に、よく似ていた。 「……何か、違う?」
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