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浅頭が頭を抱え、軽く白目を剥いた後。原野、渡部、高海、中岡の4人を見て口を開く。
しかし、浅頭の言葉を遮るように高海が素早く言葉を発した。
「先に言おう。浅頭、すまん」
浅頭の顔が更に苦くなってくる。への字に曲がった口をゆっくりと開き、恐る恐る原野に問いかける。
「原野さ、ほら、学園祭の漫画研究部の展示場のさ、あれ・・・飾りつけの材料とか道具とかってさ・・・買った?」
浅頭の問いかけにゆっくりと、静かに頷く原野の顔は以外にも穏やかであり、さながら菩薩の様であった。
菩薩顔を浅頭に向け、元々細い目で眼鏡越しに浅頭の顔を見つめて出した返事は
「麻雀がさ、楽しすぎたんだよね?」
激昂する浅尾くん
「理由になってねぇぞ!!」
「浅頭すまねぇ???、ごめんよぉ????」
「いやさぁ!もう全然時間ないって言ってるでしょ!?なのに麻雀ってさぁお前ら・・・んぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
浅頭が体を捩らせ、悶え始める。
簑島がその様子をポカンとした顔で眺めている。
渡部は我存ぜぬといった様子でスマホをいじっている。
怒りに悶える浅頭に原野が空気を読んでか読まずか・・・きっと読んでいないのだろうが、笑顔で言葉を投げる。
「まぁまぁ浅頭、そんなピリピリすんなって」
「お前が言うなオラァァァァァァァ!!」
「そんな怒んないでよ浅頭ぉぉ???、俺昨日は全然勝てなくて落ち込んでんだからぁぁ」
「知らねぇオラァァァァァァァ!!」
浅頭は決して暴力は奮わない。物にも当たらない。しかし、顔は険しくよく叫ぶ。
「原野、さすがに反省しろよな・・・」
原野の横に座っていた中岡がおどけた様子で原野を諫める。
原野も幼なじみの中岡の言葉は比較的素直に受け止めるらしく、軽く頷いた後に右手をパチンと鳴らし、そのまま人差し指を伸ばして浅頭に向け、得意気な顔で口を開いた。
「わかったわかった、今から買ってくるからって!何を買えばいいんだっけ?」
「後で『グループ』に書いて送るからもう行って」
浅頭は悪びれる様子のない原野に辟易とした様子。原野は重い腰、重い腹をゆっくりと椅子から離し、二本の足で立ち上がり、両手を上げて大きく伸びをする。
「んっんぁっ・・・ふぁぁ・・・!」
「喘ぐな!!」
原野の伸びと共に漏れた喘ぐような声が浅頭のしゃくに障ったらしく、浅頭の怒声が部室中に響き、机の上に積み重ねられた漫画が雪崩のように崩れた。
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