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Encounter
ここは地下牢のとある鉄格子の前。
牢の中には、体中に傷を負った人が一人。
今日も、怖気の走るような狂気としか思えないような拷問を受けた体を癒そうと、その牢の主が鉄格子の方を向いたまま横たわり、どのくらい時が経っただろうか。
牢の主の目に、不思議な現象が映った。
ただでさえ暗く、夜目の効く自分でさえ躓かずに歩くのに苦労しそうな闇の中。
鉄格子の向こう側に作られている面会のための空間に、闇の中でさえさらに暗くおどろおどろしく感じるオーラをまき散らす亀裂が横一文字に生じたのだ。
しばらくすると、その亀裂はゆっくりと口を開くように上下に開き…
その内部のものと思われる闇のような、しかし黒く光る何かをまとった塊を吐き出すと、まるで元からそこには何もなかったかのように“すっ”と消えていった。
そこに“塊”を残して…
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