ディーピットへ凸☆入

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 霞の某大サーカスの如き悲鳴が、山の向こうに消えていく。  勿論、戦争に勝鬨(かちどき)を素直に上げる事の兵士達が、ビクついたのは言うまでもない。 [そりゃあ……喋りますよ。ご主人が産み出した、魔法生命体ですからねぇ]  叫ばれたのが不満なのか、その声はお世辞にも明るいとは言えない物で、ご主人と呼ばれた当の本人は目をぱちくりさせている。 「ご主人、て……誰?」 [私の目の前にいる人ですね] 「……」  鉄の乙女の発言により、頭の上にはてなマークを出してパーフェクトフリーズしてしまう霞。  ……え? 私が産み出したの?  私、こんな堅そうな女の子産んだ覚えはないよ?  仮に神からその様な能力を貰っていた、そう仮定したとしても、いつ・どこで・どうやって・なにゆえに出したのかが解らない。  そこだけ、心太(ところてん)を押し出した様に、すっぽりと抜け落ちてしまっている。  歯痒いと言うか、しっくり来ないと言うか……ジグソーパズルのピースが三つ程足りない時の様な残念な気持ち。  頭をフル回転させ、記憶を辿ってみるも解決する筈もなく、寧ろ解らない事が増え、余計な気持ちを抱いただけに終わった。 [ご主人]  煮えを切らした鉄の乙女が、話を進める為に霞に呼び掛けた。  その為、やりきれない様なRPG中弛み症候群みたいな気持ちを、グッと心の引き出しにしまい込む。 [今は、考えるよりも先にやる事があります] 「やる事?」  その言葉を、怪訝に思いながら辺りを見回してみると、背後には武装した一団の方々がザ・ワールドした時と同じ感じで、固まっている。  ……はっはぁ~ん、ティン! と来たわ。  私の推察力を舐めたら、あかんぜよ?  周囲を見回した後に瞳を閉じた霞は、顎に手を当てつつ指を鳴らした。 「成る程、取り敢えずすべき事は解ったよ」  ようは、こやつら悪者なんでしょ?  片っ端から片付けましょうってのが、この、あれ、名前知らないから解んないけど、堅め女子のやらなきゃいけない事なんだと思うの。  バーローも真っ青ねwwwwwww流石は名探偵魔法少女霞!wwwww突如爆☆誕wwwwwwww 「まずは殲滅ねwwww任せて牧場!wwwwwwww」 [いえ、そろそろ服を着て下さい]  その場には硬直する二つのグループ。  恐怖に更に硬く固まった兵士達と、自分が全裸と言う事実を取り戻して固まった霞。
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