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二人の場違いな会話が続いている中、そこへ近寄ってくる一人の影。
「もし、少々宜しいですかな?」
「今wwww授業の真っ最中wwwwww」
温和そうな銀の鎧を纏った老騎士の渋い声、しかし霞は気にする事は無く平成の狸合戦の名台詞を決めた辺り、もう末期に近い。
「ほっほ。それでは、出直すとしましょう」
やんわりと微笑む老騎士は白く伸びた顎髭を撫でる。
「者共っ! この物達に感謝をっ!」
そして、霞達に背を向けて先程の声とは違う、『老大将』っと思える様な野太い声で兵士達を煽った。
老将の声に反応した兵士達は、戸惑いを見せるも小さな声が徐々に大きくなっていく。
霞達への感謝の咆哮が、この戦場での勝鬨。
「では、我々はこれにて。貴女方の未来に幸あらん事を」
目を細めて笑う老将は、霞達に一声かけるとゆっくりとした足取りで、自国があるであろう方向に向かっていく。
「なんだったの、あの溢れ出るダンディズム紳士は……?」
[恐らくは、大将でしょう]
「取り敢えず、どっかでお茶しながら状況を纏めたいんですけど」
霞の意見に、「そうですね」っと端的に返し、霞に同調を示す。
[先程の兵士達が向かった方向に進めば、小さいながら国として成り立つ『ナンカムズムズスル国』に着き、それを越えると中国家の『トライ国』があり、そして、その二つを越えた先に火の大国家である『メロンディア大国』があります]
「ナwwンwwカwwwムwwwズwwwムwwズwwwスwwwルwww国wwww」
鉄の乙女の発言により、霞は抱腹絶倒の窮地に立った。
必死に酸素を取り入れながら、「どこがwwwwwwねぇどこがwwwww」と、涙ながらに鉄の乙女に訴えている。
[さぁ……肩甲骨辺りじゃないですか?]
「ひぃっwwwwひぃっwwwww……ふぅ……私は、内腿の付け根だと思うんだけど」
[そんなマジレス要らないんですよ、いいから行きますよ]
リアルに一番むず痒くなる所を、呼吸を整えながら霞は真剣に考えてみたけど、鉄の乙女に一蹴されてしまい、とりつく島も無い。
「堅め女子、ちょっとあたりが強いよね?」
さぁ、いざ歩き出さんとしたタイミングで、霞が鉄の乙女に問い掛ける。
[あのですねぇ……私は『オトメ』と言う名前があるんです! なんですか先程から……『堅め女子、堅め女子』って……好きで堅くなった訳じゃないんですよ!?]
「せ、せやな……」
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