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夜の帳がすっかり降り、街も人も皆それぞれの夢物語へ旅立つ頃合い。
潮風棚引くホテルの一室にて、甘く蕩ける密事が行われていた。
肌を撫で付ける生温い風が肌の上を通る感覚にアイシャは身震いし、薄衣の一つすら隠すことのない豊満な身体でベッドのマットレスに両手をついた。
燃えるような赤髪が肩口からはらはらとこぼれ落ちる。
なだらかな曲線のうなじ、首筋。
鎖骨から下に顔を覗かせるたわわに実った二つの膨らみの先端は、甘やかな恋人同士の甘美な期待でつんと固くなり、脚のあいだは長すぎた前戯の余韻で男の欲望を誘うように蜜を滴らせている。
蕩けるように潤む魅惑の紫瞳は同じように豪奢なベッドの上に悠々と腰掛ける恋人ラサヴェルの姿を浮かび上がらせていた。
清らかな聖銀を思わせる髪から水滴がしたたり、脱ぎかけのはだけたバスローブからは男性としては余りに白く、美しい胸板が覗く。
アイシャを貫くインディゴブルーの瞳が獰猛に輝き、アイシャの奥底に潜む欲望の嵐を掻き立てる。
キングサイズのベッドの背凭れに、起こした上体を押し付けるラサヴェルは涙を溜めて哀願する恋人を見つめ、愉しそうに笑った。
「アイシャ、腰を沈めてごらん。
今夜はきみが主導権を握るんだ。
僕を気持ちよくさせてみて……」
囁くような声色が、アイシャの情熱の扉を大胆に叩く。
「わ、わかった……や、やってみる……」
恥じらいながらも、アイシャの身体の疼きはもはや限界に達していた。
バスローブの下で燻るラサヴェルの姿は、想像していたよりもずっと大きく、羞恥と驚きでアイシャは生地をめくる手を止めた。
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