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まるで翠の唇に媚薬が塗られていたように、蓮はすぐにも理性を手放した。
「ん……!」
ほんの少し開いて緩んでいた翠の唇の隙間から咥内に入り込む『何か』
知識として頭の隅に置かれていたものが現実として起きていることが信じられず、翠は夢心地のまま蓮の腕に身体を委ねた。
探るように優しく触れていくものが蓮のものだと考えるだけで翠の鼓動は速まるその一方で、先程蓮に触れられていた箇所がむず痒く疼いていた。
触れて貰いたい、でも、恥ずかしい。
脚のあいだのショーツがとろんと蜜を滴らせ、その冷たさに驚いた翠はそっと手でそこに触れてみた。
「!」
甘い蜜の受け皿になって濡れた薄布の手触りに、翠は自分の顔がかぁっと熱くなっていくのが分かった。
はしたないと思われるかもしれない、そんな小さな恐怖の芽が翠を臆病にさせる。
「翠、それ……」
唇を離した蓮は翠が後ろに回して隠そうとした手に気付き、手首をそっと掴んで引き出した。
光るものがとろりと指の間を流れていく翠の手を、蓮の眼がじっと見ていた。
「やっ、ちが……あの、これはっ……」
怖くなって蓮の手を振りほどいた翠の眼から、じわりと涙が滲んだ。
「……き、嫌わないで…!」
か細い声でそう言った翠は蓮の反応が怖くなり、視線を落とした。
どうしちゃったの……わたしは、こんなにえっちな女だったの……!?
頭の中はぐるぐるとそんな考えでいっぱいになるものの、身体はどんどん疼きが酷くなっていき、翠は身体をきつく強張らせた。
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