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翠の手首を掴む蓮の手が彼の顔へと引き寄せられ、指先に赤い舌がつうっと濡れた箇所を這った。
「んっ……や、汚…!」
指の間を生暖かさが撫で、局部に触れ、今なおテラテラと光る指ごとすっぽりと包まれた時には、翠の中の羞恥心がはち切れそうになった。
ギラギラと鋭く燃えるような熱視線はじっと翠の顔に注がれ続けている。
「んっ」指のある一点に蓮の舌先が触れた瞬間、再び背筋に熱が灯り、困惑した表情でそろりと彼の顔を見た瞬間、彼は嬉しそうに微笑んだ。
「やっと……こっち向いてくれた」
「れ、蓮……」ようやく喉の奥から絞り出した言葉に、彼は掴んでいた手首をぐいっと引き寄せて、翠の身体を抱きすくめた。
「嫌うわけない……嬉しい……、嬉しいよ……」
耳元からの言葉は真実の魔法のように翠の心に沁み渡り、かたくなになっていた緊張を解きほぐしていく。
とくんとくんと逸る心音が伝わり、安心して力を抜いた翠は彼の腕が震えていることに気付いた。
蓮も……同じなんだ……わたしと同じで、きっと嫌われるのがこわいんだ……。
そっと蓮の背に腕を回すと、彼は少し驚いたようにびくっと震えて、その反応に愛しさを覚え、翠は温かい気持ちに包まれた。
「蓮の好きにして……。
何もかも初めてで、分からないだめな先生に……教えて…蓮のこと……」
「翠……俺も…そうなんだ。
偉そうに言ってたけど……実は俺も初めてでうまくできるか分からない……。
だから、さっきから震えてる」
余裕のない蓮の顔を見たのはこれが初めてで、翠はじんわりと広がるこの心が愛だと気付いた。
――――先生と生徒の垣根を越えて。
「翠……、みどり……っ」
蓮が翠の名を呼ぶ声が掠れていた。
「んっ……ん…っ…あぁっ」
ベッドの上に重なる二つの身体。
シーツの端をきつく掴み、翠は襲い掛かる引き裂かれるような痛みに、目に涙を溜めて絶え絶えに喘いだ。
翠の上に覆い被さる蓮は切なげに顔を歪め、翠の名を呼び、乱れた髪を優しく撫で、痛みに耐える彼女の、誰も触れたことがない清純の証へと腰を進める。
痛いほどの締め付けに彼もまた、理性を忘れて楔を打ち付け、自分本意に達してしまいそうな悪魔の誘惑と戦っていた。
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