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淡雪のなめらかなクリームを広げたような美肌。
光を一ヵ所に集めたような純金の輝きの髪は蛇のようにうねっており、腰元まですっぽりと覆っている。
大輪の花を咲かせるように大胆に盛り上がった柔らかな膨らみが誘うような色艶を放ち、豊満な胸を収めるベアトップのシフォンドレスは透度が高い湖を纏ったよう。
薄く透けた生地のスリットからなまめかしい脚が覗いて――幼いながらも男性の遺伝子を継ぐラグーは、妖艶な魔女の姿にドキドキと胸の鼓動を速めた。
「あら、どこを見ているの、坊や?
人に大事な話をする時はきちんと目を合わせてするものだと習わなかったのかしら?」
「あっ……ご、ごめんなさい」
高鳴る鼓動が忘れかけていた使命に追いたてられ、ラグーは慌ててヴェルサの顔を見た。
吸い込まれそうなマンダリンオレンジをベースに真紅のキャッツの光彩が魅惑的にラグーを誘惑し、肘置きから伸びる頬杖の先に蠢く紅を塗った爪先が皮羊紙を広げていた。
白肌に映えるルージュを濡らすようにくちびるをチロチロと嘗める舌先の動きに、ラグーは思わずごくりと喉をならした。
「……ラグー、と言ったわね。
あなた、この密書の中身をご存知なのかしら?」
鈴を鳴らしたような美声に、再度忘れかけた自我を取り戻したラグーはブンブンと勢いよく首を振った。
「め、滅相もありません……!
ぼくのような下っ端がそのような無礼をするなど……あ、あり得ませんっ」
「そう」
ヴェルサは言葉を切ると、深く腰掛けていたロッキングチェアから音も立てずに立ち上がった。
優雅なしぐさは魅了の燐粉が舞い上がったように思え、ラグーは一歩も動くことができず、ヴェルサの姿を夢見心地のまま、ただただ見つめていた。
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