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※盛大なネタバレ要注意※
琴子ちゃんなんで思わせぶりな態度をとっているのかなあ、と思ったらそういうことだったのか!
ということで、今回の物語が全て必然性をもって仕組まれたものばかりだったのか、ということばかりで、さすがSEECさんと言うことしかできない不思議でした。
お? 人が死なないミステリー? ファンタジー要素もサリーの服装だけ? 野崎www と思っていたら、そんなことは全くありませんでしたね。
思った以上にみんなクズすぎてびっくりというのがこの物語を読んでいての感想でした。
一人一人に感想をつけたいところですが、今回は全体を通した話をしたいなと思います。
8章までは飾りです。飾り。いや、すべての伏線はここではられまくっていたのですが、ここは本編ではなかったのだなあ、と感じました。
琴子ちゃんの気持ちは分からなくもない。優ちゃんの中毒死を招いた三人に対して怒るのは当たり前だろう。そら、怒るわ。ゲームオーバーになる選択肢で彼女が小さな子みたいに「悪いやつをやっつけたかった」なんて発言は分からなくもないけど、それやったら君も悪いやつだよ。
正直、ふみ先輩も野崎先輩も相当クズだけど、一番のクズは彦根だと私は思っている。もはやサイコパスとしか言いようがないぐらいすがすがしいクズ。まあ、発散の為に他人を捌け口にしていた二人も最低だけどな。
琴子ちゃんのイメージの優ちゃんと本当の優ちゃんにズレがあるのも悲劇をつくった理由なんだろうなあと思うとさらに切ない。ズレてしまった原因が、不良であった紡だと思うと、犯人に仕立てて殺してやるって考えに至るぐらい嫌いだっただろうなあ、とも思う。
彼女が秩序を乱す人間がそもそも嫌いという設定があるし、不良なんてその権化なんだろうし。優ちゃんを変えてしまった張本人だと言いたい気持ちも分からなくはない。
紡と優ちゃん仲良しだったわけだし。優ちゃんも紡もオタクっ気があるから仲良くなったんだが、琴子ちゃんからしたら、不良の存在なんて、汚物でしかないんだろうなあ。
ただし、私はこういう奴とは絶対ソリが合わない自由人だから共感できるかと聞かれたら、全くもって無理だと答えるし、むしろ紡にしか同情できない。まあ、授業やら部活やらサボる紡も紡だけどな。
そんな風に思いを馳せていると、蒼星の存在はきっと読者にテーマを伝えたい為ではないのかなあと感じる。
彼は考え続けろと紡に伝え続けた。きっとそれは、お前にはお前の答えがあるということを言いたかったのかもしれない。
案外物語には主人公と敵という対立関係が多いと思うし、それに付随して思想的な対峙が多いのかなと思う。
今回も主人公と敵。琴子ちゃんにとっての敵と味方の構造がはっきりしていたと思う。サリーもどちらかといえば琴子ちゃん側だし、直羽もそうだろう。いや、直羽はたぶん、属しはしないのかな。彼女は彼女なりのやり方で小池、野崎、彦根に立ち向かおうとしていたからなあ。
ただ、今回、思想的に対峙していたのは蒼星と琴子だったんだと思う。何かにすがって、自分の正解が全ての正解だった琴子ちゃんと、人それぞれの正解を見つけろと言い続けた蒼星とのね。
きっとこのシナリオで、将来を見つけて歩んでいくというのは、たくさんの正解の中から、自分の正解を選びなさいということだったのだと思う。
それは、紡への言葉であり、私たちへの言葉でもあるのだと思う。紡は字を書くことを選んだのだけど、読者は何を正解として選びますか、と。
うーん。私は、何を正解として選ぼうかな。
とりあえず、社会科の教師として立つことを
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