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「さて、今回の依頼人よ。」
いつものように理事長室に呼ばれた6人を待っていたのは理事長と中年の男だった。
「依頼人?」
紗空が目を瞬く。
今までは依頼内容を教えられて潜入場所に行くということが普通だったため依頼人に直接会うことはなかったのだ。
紗空以外の5人も依頼人がいたことに驚いているようだった。
しかし、驚いていたのは紗空たちだけではなかった。
「…葵衣(あおい)」
依頼人の男は目を見開いてそう呟くと紗空を見据える。
「えっ?えっ?」
いきなり見つめられた紗空は目をパチパチと瞬きながら男から目が離せずにおろおろする。
隣にいた悠がとっさに紗空の手を引き自分の背に隠すと男に鋭い目を向ける。
「何か?」
その言葉ではっとしたように依頼人が謝る。
「すみません、そちらのお嬢さんが娘にそっくりだったもので…」
「娘さんに?」
瑠莉が尋ねると理事長が補足するように話し始めた。
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