最終紙 楽園

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お母さんと子供達へ 皆 元気に過ごしているかい ちゃんとお母さんの言うことを聞いてるかな 元気で過ごせて居るならなによりです お父さんは元気だよ ある人達のお陰で 今の所病気や怪我も無く過ごせて居ます 噂では もうすぐ この戦争は終わるそうです お父さんも生きて帰れると思います お父さんが今居る島はね 見捨てられた 忘れ去られた戦場と呼ばれる場所になったんだ 向こうの航空機が たまにこの島の上を飛んで行くけど 今じゃ機銃も射ってこないし 爆弾も落とさない 戦地なのに とても穏やかだ でも 食べ物には少し困った 食料が底をついてしまったんだ 味方の潜水艦が ここらを巡回していて 島を確保しておけと伝令を寄越すけど 物資は置いていってくれなくてね けど今ちゃんと御飯は食べれているよ この島に住んでいる人達が 食料を分けてくれたり 家に招いて食事を振る舞ってくれる この島の教えに お父さん達の言葉に直すと その人間の事を知りたければ 仲良く友達に成りたければ 食べ物を分け与え 食事を共にしろというのがあるみたいだ 彼等は その教えに従い お父さん達に食事をご馳走してくれていると言っている けど きっと違うんだと思う 彼等はそんな言葉に関係無く ただ単純に そして純粋に お腹を空かせた お父さん達をみかねて 助けてあげたいという気持ちで 食べ物を分けてくれていると思うんだ 本当に申し訳が立たないよね お父さん達が彼等にした事といえば 畑を穴だらけにして荒らし 森を焼いて枯らし 河を油まみれにして汚す そんな事ばかりだというのに お父さんはね 島の人々と過ごしている内に 自分達の 傲慢さ 未熟さ を痛感させられた この戦争が起きた理由 君達はわかるかい
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