かわいいその子

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プルルルルッ…。 呼び出し音が鳴り出す。 プルルルっ。ぷつ。 さっと横から伸びてきた手がフックスイッチを押した。 「おい!」 その手が伸びてきた方を俺は睨むと、相手もこっちを睨んでいた。 「何やってんだ!」 間近に居る春輝に、必要以上の声量で怒鳴った。 朝といい、さっきといい、今といい。 こいつは何をしたいんだ! 「電話しないでよ!」 俺に怒鳴られて、一瞬ひるんだ表情を浮かべたが、 「電話なんかすんな!したらぶっ壊すからな!」 そう矢継ぎ早に怒鳴る春輝の頬は真っ赤に高揚し、息があがっている。 「お前…」 春輝の剣幕に面食らった俺はキョトンと間抜けな顔をしていたと思う。 「…なんだよ」 拗ねたような、気恥ずかしそうな顔をしていて上目使いに睨んできた。 いつもはワックスで整えている髪は、朝のままおとなしく本来の髪型を素直に表している。 長めの前髪は春輝の眼差しを半分隠し、以前に比べ真っキンキンの髪はまだらになることなく、照明の明かりでキラキラと光っている。 (美輪さんの金髪よりキレイだ…) ふと、そんなことを思った。
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