かわいいその子

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「今か?それは無理だ~」 なんせ給料日は過ぎているがまだ生活費をおろしていない。 「やだ!今して欲しいんだ…」 真っ赤な顔で春輝が俺を見る。 してほしい?ん…?買ってほしいのではなくて? 「何をしてほしいんだ、言ってみろ」 春輝の目が俺を避けるようにそらしたかとおもったらおもむろに俺に寄りかかり、そろそろっと腰に手を回してきた。 「…ってしてくれよ」 「ん?眠いのか春輝」 一体何がしたいのか、春輝がなんて言ったのか分からず、適当な事を言うと、春輝はグリグリと俺の肩におでこをこすり付けて、 「だから~俺を抱きしめろって言ってんの!!」 そう叫んで、めいいっぱいの力を込めて俺の腰に抱きついてきた。 「ぐはっ!!く、苦し…」 いきなりどうしちまったんだ! 年頃の男の子がおっさんに抱きしめて欲しいなんて…。 「春輝…」 心地いい春輝の体温が熱いくらいに上がるのがわかる。 うなじなんて真っ赤になってる…。 (なんて可愛いんだろう…) 可愛くて可愛くてたまらない。 本当だったら寮に居ないといけない時間のはずなのに、コンビニのケーキなんて買って俺に会いに来て…。 なんて健気なんだ。 そう思うと込み上げてくるものがあって、俺は春輝を思いっきり抱きしめ返していた。 ヒュウっと春輝の息を吐く音が聞こえた。 このままずっと春輝と暮らしていけたらどんなに満ち足りるだろう。 もっと。と、催促してくるように春輝がおでこをグリッと肩に押し付ける。 少し痛んでいる金髪が口に当たる。チクチクと刺さるその髪を食んで頭部にキスをした。
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