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いけない。ダメだ。と思っても人間、楽しい方、いい方に流されるもんで…。
俺は完全に流されている。
「今年のクリスマスプレゼントなんだと思う?マジでふざけてんだよ」
仲良く並んでこたつにあたりながら、春輝が中心に乗っている栗を残すように少しずつモンブランを食べているのを眺める。
「なんだ、そういうこともすんのか?」
クリスマス会だけかと思ったらちゃんとそういうこともするのか…。
「そうだよ~。しかもちゃんと夜中に配んの」
小さな子供にサンタがいると思わせる演出は一般家庭だけではないのだと。俺はなんだか感動した。
「なぁ~、だからなんだと思う?」
体を揺らして俺に体当たりをしながら催促をする。
(女子か!)
内心で突っ込みながら思わず顔がにやける。
「そうだな…。参考書とか?」
「あぁ~。それよりまだマシかも。正解は図書券…。マジでいらない。俺、本読まねぇーし。だったら音楽ギフトがよかった」
「そうか~それは残念だったな…。じゃあ今度来たときはCDでも買いにいこう」
モンブランを一口頬張る。
案外ウマイ。
春輝はちらっとこっちを見て不満そうに黙り混む。
「なんだ?他に欲しいのがあんのか?」
おいおい、せっかくのいい感じが…。
コーヒーを飲んでカップを置く。春輝の顔を覗き込みそっと頭に手を当てた。
「どうしたんだ。違うのが欲しいのか?遠慮すんな言えよ~」
目が合うとそらされた。
唇が尖ったりしぼんだりして、なにか言いにくそうにしている。
「じゃあ次回までに考えておけ~」
「やだ!…今がいい」
そう春輝は耳まで真っ赤にして言った。
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