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「やれやれ、仕方がないな。二郷くんよ。」
「え、博士。」
顔をあげると、すぐそばに博士が仁王立ちしていました。ゆっくりとバイクに乗るチンパンジーへと近づいていくのです。
「お前も、少し悪乗りが過ぎたようだな。」
「ウキャ?!」
博士の顔を見たチンパンジーは、真っ赤な顔を真っ青にしだしました。
「くらえ、撃退わさびスプレーーー!!」
「ウキャーキャーァァァ!?」
博士は懐から緑のスプレー缶をとりだし中身を猿に向かって噴射しました。チンパンジーはバイクを乗り捨てて、元いた部屋の方へと逃げていったのです。
「は、博士。」
「いや、すまないな。なんとか間にあって良かったよ。」
「もう死ぬかと思いました。」
泣きながら言う僕に博士は飛びっきりの笑顔を見せてこう言いました。
「それは困るぞ、君は大事な助手なのだからな。」
「僕のことをそ、そんな風に。」
「当たり前じゃないか。」
博士の言葉に僕の顔は熱くなるのを感じました。こんなに嬉しいことはないです。
「さぁ、さっそくだが二郷くん。その青色のボタンを押したまえ。」
博士はそう言うとブレスレットを指さします。
「あ、これで元に戻るんですね。」
僕はなんの躊躇いもなく、そのボタンを押しました。
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