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「いや、それは君の名前が二郷だから、あっちの2号と同じようにしたら面白いかと思っただけだ。」
「そんなどうでもいい理由で、僕は猿になったんですか!?」
僕はガクリと肩を落としました。このままでは色んな意味で大変な事になる、早くなんとかしないと。
「博士。仮にもそのパワードスーツが出来たとして、こんな姿で着たら世間は大騒ぎしますよ。」
「安心したまえ、私だって対策はちゃんとしてあるさ。その証拠に君は、メスのチンパンジーになっているのだから。」
「大丈夫じゃないですよ、猿がその格好をするのが問題なんです!!」
本当に駄目だこの人は。
「まぁ、落ち着きたまえ。その前にチンパンジーになって体に異常がないか調べなければ。」
博士はそう言うと、椅子から立ち上がりました。そして手をわきわきさせながら、僕の方を向くのです。
「さぁ、こっちへいらっしゃい。」
どす黒い笑みを浮かべ、ゆっくりと確実に距離をつめてきています。壁際まで追いつめられたら何をされるかわかりません。僕は咄嗟に窓を指差して、
「あ、UFOだーー!!」
と言いました。
「二郷くん。そんな古典的な罠に引っ掛かるやつなどおらんよ。」
「しかも、フライングヒューマノイド型!!」
「何処だーー!!二郷くん、山の中にカメラがあるから探せーー。」
物の山を掻き分けながら博士は慌てふためく。そんな彼女をよそにそっと部屋から抜け出しました。
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