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「ここはひょっとして、実験用の動物達の部屋?」
まずいと思いました。ここにいると騒がれて、博士に捕まってしまうかもしれない。僕は踵を返して部屋を出ていこうとしました。
「ウキキ。」
しかし、部屋のチンパンジーが僕の肩を掴んで離しませんでした。
「ちょっと、僕は急ぐんだけど。」
「ウキキ(美しいお嬢さん、どちらへ。)」
猿の握力は半端じゃないと言うが、予想以上につよいようでした。
「いや、離してくれませんか?」
「ウキャーキャ(俺といいことしましょうよ)」
「あの、顔を近づけないで、鼻息が荒いんだけど。」
「ウキキー(それはOKってことですね。)」
「これは会話が噛み合ってないな。」
僕は猿の腕を振り払い、脱兎のごとく走り出して部屋から出ました。
それから廊下を猛スピードで移動しているが、相手も動物だからかなり速い。
「ていうか、何でこのチンパンジーは檻に入っていないんだ!」
その言葉が聞こえたのか、またスピーカーから博士の声が聞こえてきた。
『二郷くん。言い忘れたが、猿の檻の鍵をかけ忘れたのだ。そいつは今は発情期だから気を付けろ。』
「やっぱり、博士のせいかぁぁ!!」
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