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おれは、今……痴漢に遭っています。
場所はそう……通称エロタワーと呼ばれるアダルトグッズ屋の男性フロアと呼ばれる場所。
尻たぶに触れているだけだった手が、徐々に大胆に尻を揉み始めて、ひいと声が漏れそうになる。
この手は何故、もう四十になるおっさんの尻を触っているのか。
それから……痴漢に遭ったら、あんあん感じてしまうんじゃないかと思っていた過去のオレよ。
痴漢は怖いだけで全然気持ち良くない。
ぐぐぐっと歯を食いしばって、横に一歩ずれる。
案の定後ろの男もずれて来た。
目が泳ぐけど、そこにはもうなんだってくらい大きいあれのおもちゃがあったりするわけで、もうなんかいたたまれないというか。はあはあって首にかかる息が気持ち悪い。
そもそも、こんな場所に何故来てしまったのか。
時間を巻き戻すこと数時間前、帰りに寄った新宿で、ホワイトデーの売り場に行ったのが、そもそもの間違いだった。
バレンタインに年下でよく出来た恋人である迅が、わざわざ百貨店でチョコレートを買って来てくれたのに気を良くして、お返しを買おうと思い立ち、売り場にやって来たまでは良かった。
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