第1章 花姫の母上の願い

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 ちゃんとほる用意もして来なくちゃ~。 「来るとちゅう 道具店もあったわ」 「そうだね。ちょっとだけほってみよう」  良幸は 持っていた枝で グサグサ 落葉の土にさしてほる。小さな穴があいただけ。 「やっぱ だめだ。ほる道具を探さなくちゃ」  花姫が 近くの物置小屋を見つけ 指さす。 「あの小屋。あそこに何かありそう」 「ほんとだ」  2人は小屋に行く。 「開けて」と 姫が言う。 「いいの?人の家の小屋だろ?」ためらう良幸 「いえ。この土地の物は 父上の物です。父上の物は 後つぎの姫の物」 「城の後つぎって便利だね」  良幸は古い物置小屋の かんぬきを開ける。古いのに 戸がスムーズに開く。    中の道具は 古いのと新しい物がある。  すぐ目の前には スコップとシャベルが置いてある。 「不思議だね。『これ持って行け』って言ってるみたい」 「もちろんクヌギの神様のおぼしめしよ」  花姫が言うと 良幸もその気になり 「じゃ スコップとシャベル借りますねー」と 手に持った。 「でも あっちの方が上等かの?」大きいのを指す姫。  「重そうだろ」 「たしかに」  丁度良いのを持って 小屋を出る2人。  2人は小走りに クヌギの所にもどる。
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