第1章 花姫の母上の願い

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 宝箱の有りそうな所にスコップをさす良幸。 「よし ほるぞー。どうせ一発で当たらないけど」 「姫は良幸様なら当たると思う」  やけに期待されてしまった。  良幸は 古い落葉が積っているので ガサガサ散らし 「カブト虫の幼虫とか 出ないかなー」と 変な期待をする。 「何ゆえ? 虫と遊ぶの?」 「まあね 姉をおどかすの」 「メッ、悪い子ね」 「いじめられてますから」良幸は笑いながら言う。  花姫も 楽しくおしゃべりで返す。 「ほほほ 姉の特権ね。妹をいじめたことあり」 「悪い姫だね」 「でも怒られるのは いじめた方ではなくって?」  良幸は笑ってうなずき ほり続ける。  どんどんほって  だんだん深くなって   何か出て来る。 「あっ かたい物がある」 「何かしら?宝箱かしら?」  たしかに土にまみれた宝箱の一部に見える。ウキウキ 「ちょっと早すぎない?」ワクワク  箱の回りをほると 少しずつ箱の形が見えてくる。 「ほら やっぱり宝箱よ」 「ほんとだ 見つけたー!」  花姫は「大きいわね」と喜ぶ。  千両箱を思うと小さいが。そんな大きかったら 母上も大人に たのむでしょう。  良幸は箱の周りをシャベルでほって 引っぱるが、土まみれで出てこない。  スコップを箱の下に 差しこんみ、スコップの手の方をたおして自分が乗り、テコのようにして 重い宝箱を持ちあげた。グイグイ スコップを倒すと、箱は持ちあがった。 「やった―!」 「出ましたねー!宝箱」  どろまみれの木箱。角は鉄で囲ってあるの地図にのっているものと同じ形。まちがいありません。
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