第1章 花姫の母上の願い

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 宝箱に キラキラ光る金銀財宝が いっぱい ギッシリ つまっていた! 「わーっ」花姫のお目々も キラキラ。 「わーい 一発で宝が出てきちゃったよ」  良幸には 初めて見る金貨や美しい宝物ばかり。宝を勝ち取った海ぞく気分で「バンザーイ!」 「すごいね。私たち」  花姫は『良幸が運のいい人』に思えてきた。  でも良幸には 他人の宝物だから 別に幸運でもない。 「こんなにすぐ出てきちゃうなんて。君の母上、わりと単純だね」だって。  護衛官の良幸が そんなこと言っていいの?  後ろに注意しないとね。  ほら 後ろの木のかげで 後をつけてきた父上が  「打ち首、打ち首」って 良幸をにらんでいるよ。 「きっとあの坊主、横取りするにちがいない。これは最後まで見届けねば」  良幸は 父上に全く信用されていません。  でも 良幸は宝物を持ちあげたり かき回したり にぎって 遊んだだけでした。 「ほら こんなにつかめた。でもお菓子の方がいいなー。これ食えないもん」成長期はよく食べますからね。  花姫の方は 欲しいきれいな宝石がたくさんありました。 でも手でさわれず、見るだけ。うらやましそう。 「あ それ 見せて」 「これ?この大きいのは?」 「すてきね。あれもいいな~。姫も宝石をつけてみた~い。あー、それも見せて。きれい。欲しい~」と ナデナデする。  宝石をぶんどりたいのは 花姫の方です。
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