第1章 花姫の母上の願い

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 良幸は昔の金貨や宝石を持って帰ったら また幽霊のうわさに悩むだけ。テスト100点で2千円もらう方が 得です。  良幸は宝の横取りなど まったく考えません。  だから母上は欲のない子どもに 宝探しをたのんだのです。  母上の期待通り 良幸は宝を見つけて、次へ進まねば! 「宝を町民に返すなら 宝箱を町へ持って行かなくちゃ」 「私も宝箱を持ちたいが さわれぬ。1人で持てるか?」 「いや 重くて 町まで宝を運べそうにないよ」 「先の物置小屋で 何か探そう」  2人を見ていた物置小屋が「何でも探して」と 前より近づいていた。そんなバカな!いえ 小屋だって宝物に興味がある。  花姫も物置小屋が動くなんて思わ無いから  「こんなに近かった?」と 首をかたむける。 「きっと 初めての時は遠く感じるんだよ」 「なるほど」花姫もなっとく。  2人が物置小屋に入ると すぐ目の前に手押し車が置いてあった。さっきはなかったのに。でも早く町に行きたい2人は 欲しい物しか見なかった。  良幸が手押し車をギシギシ引くと、物置小屋は『どこに行くのだろう?』と 気になり 子どもたちに分からぬようこっそり動いて また宝箱に近づいた。  2人は 気付かず、外へ出て まっすぐ宝箱へ走った。  手押し車にはヒモまで付いていた。 「準備がいいね」良幸は感心する。 「ほんとね」  良幸は手押し車をかたむけ、重い宝箱を片方 持ち上げ「よいしょ」と 荷台に宝箱をすべらせて ヒモでしばる。「これで だいじょうぶ」  良幸でもカラカラ動く。押しやすい手押し車だ。
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