第1章 花姫の母上の願い

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「次は栄町よ。お祭りはどっち?」  地図にお祭は無いが 「栄町は丘をこえて 西北」良幸でも読めた。  目の前に小さい山が見える。左にはすごく尖ったクギ山、右後ろは大きな山が重なる。 「まん中の小さい丘ね。まっすぐ まいりましょう」  花姫は良幸と並んで楽しそうに歩く。  手押し車も「ガラガラガ~ラ」と 歌った。  丘の道はナナメに曲がる坂だ。良幸は迷う。 「丘をまっすぐ登って近道する?それとも丘を曲って遠回りする?」 「近道、近道」迷わぬ花姫。 「だよな」  地図には高さがないのを 考えない子どもたち。  2人は 木のすき間をぬけ 丘をまっすぐ登る。    後をつけた父上は『重い荷物なのに』と心配になった。  やはり 良幸は重い手押し車に「ハアハア」  車は上に登ると同時に下に落ちようとする。  坂はだんだんけわしくなり、登れば登るほど 重い物は力がいる。 「登るのは 疲れるねー」   花姫は後ろから押すが 幽霊では 良幸1人と同じ。  坂が急で危なくなり、良幸は曲りくねった道に変える。 「初めから遠回りすりゃよかった。ひ―」  父上は「あ~あ ダメな子は見てられん」と 頂上へ飛んで先回り。木の上で一眠り。  なんとか 丘の上に着いた良幸は 「ハァ~ 頂上だ~」と 疲れて寝ころんだ。 「あー疲れた」花姫も足を投げ出し 一休み。幽霊は疲れないと思うけど・・・?   花姫が西北の方を指さして言う。 「ほら あそこが栄町。祭りの神社が見えるわ」  目的は達成しなくては 大きな喜びも無い。   良幸も体を起こし 神社に伝える。 「今から 宝を返しに 行くぞ―」  
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