1人が本棚に入れています
本棚に追加
/40ページ
「次は栄町よ。お祭りはどっち?」
地図にお祭は無いが
「栄町は丘をこえて 西北」良幸でも読めた。
目の前に小さい山が見える。左にはすごく尖ったクギ山、右後ろは大きな山が重なる。
「まん中の小さい丘ね。まっすぐ まいりましょう」
花姫は良幸と並んで楽しそうに歩く。
手押し車も「ガラガラガ~ラ」と 歌った。
丘の道はナナメに曲がる坂だ。良幸は迷う。
「丘をまっすぐ登って近道する?それとも丘を曲って遠回りする?」
「近道、近道」迷わぬ花姫。
「だよな」
地図には高さがないのを 考えない子どもたち。
2人は 木のすき間をぬけ 丘をまっすぐ登る。
後をつけた父上は『重い荷物なのに』と心配になった。
やはり 良幸は重い手押し車に「ハアハア」
車は上に登ると同時に下に落ちようとする。
坂はだんだんけわしくなり、登れば登るほど 重い物は力がいる。
「登るのは 疲れるねー」
花姫は後ろから押すが 幽霊では 良幸1人と同じ。
坂が急で危なくなり、良幸は曲りくねった道に変える。
「初めから遠回りすりゃよかった。ひ―」
父上は「あ~あ ダメな子は見てられん」と 頂上へ飛んで先回り。木の上で一眠り。
なんとか 丘の上に着いた良幸は
「ハァ~ 頂上だ~」と 疲れて寝ころんだ。
「あー疲れた」花姫も足を投げ出し 一休み。幽霊は疲れないと思うけど・・・?
花姫が西北の方を指さして言う。
「ほら あそこが栄町。祭りの神社が見えるわ」
目的は達成しなくては 大きな喜びも無い。
良幸も体を起こし 神社に伝える。
「今から 宝を返しに 行くぞ―」
最初のコメントを投稿しよう!