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良幸は 下り坂は楽だと思った。でも道は やはりナナメに 遠回りだ。良幸は また近道を考えた。
「草すべりみたいに まっすぐおりた方が早くない?」
「どうするのじゃ?」
バカなやつは バカな事を思いつく。
「手押し車の上に乗れば すごく早く 楽~に下におりれるよ」
「なるほど それは良い」
良幸は木が無くて 下まで草の所をさがす。
「ここならすべれそう」車のスピードは考え無かった。
花姫が 手押し車に乗ると 良幸は
「行くよー。しっかりつかまって」と 後ろ足をけって前に出る。
手押し車は ガラガラと音を立て 下へおりた。
「わー」花姫もスリルを楽しむ。
良幸は初め小走りだが、手押し車がだんだんスピードを増し、足がついていけなくなった。宝物は重く 手押し車は止まらない。良幸の足は引きずられ、取っ手に乗って 足を浮かせた。
スピードはどんどん上がり、落ちるように早くなった。
こわさのあまり花姫も良幸も手押し車にしがみつき
「ギャアアアアアー」とさけぶ。
悲鳴で 目ざめた父上は下を見ておどろいた!
2人の乗った手おし車はすごいスピードで落ちていく。
「ガン!」車は大きな岩に当たり、飛んで方向を変えた。
2人は手を放し、手おし車から勢いよく投げ飛ばされた。
「ウワ~ッ」転がり落ちる良幸。
「キャア~ッ」宙に浮く花姫。
車は岩にガンゴン当たり、飛んで落ちた。乗っていたら死んでもおかしくない。
バカなことを考えた良幸に 父上も怒りまくり
「あのガキ~!」と 追いかける。
幸い良幸は 転がって、草花のしげみで止まった。
「姫 だいじょうぶ?」
「平気よ」
花姫が空中からおりたので 良幸は安心して
「待て―」と 手おし車を追いかける。
「待って―」花姫も 良幸の後を追う。
車は速く、良幸との間はどんどん広がっていった。
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