第1章 花姫の母上の願い

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「父上が私たちを探しているらしいわ」 「何で?」 「さあ?爺(じい)やから聞いたから」  父上が「花姫~」と 呼ぶ声が聞こえた。  花姫と良幸が 井戸の方に行くと 父上が現れた。 「やあ 姫ここにいたか。よかった。君もいて」  良幸は「はぁ?ボクも?何で?」と 聞く。 「今日の平之助の事では礼を言わねばならんからな」 「え?今日?」  花姫と会ってから 大分たつのに 同じ日?  父上は2人をほめる。 「君も花姫も よくやった」  花姫は「父上、ごほうびは?」と おねだり。 「よしよし。何がよい?」 「う~ん。何が良いかな?」  父上は良幸にも聞く。 「君は何が欲しい?剣か?」  剣?今どき持つだけで怒られそうだ。 「そんなの いらない」 「何?君は剣が欲しくないのか?」 「何のために?」  父上は 逆らう良幸に こぶしを上げておどかす。 「男がそんなで どうする?わしが剣を教えてやる」  刀をぬく父上に おびえて 後ずさりする良幸。 「え~?い、いりません」  花姫が止めに入る。 「父上、彼は平和が望みなのです」 「フン たんに 弱虫なだけでは?」  父上は鼻をならし 刀をしまう。
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