第3章 宝物を町民に返す物語

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 良幸は 近くのしげみに手押し車をかくす。  花姫は「ふだん着に変えなくては」とつぶやき しげみの中でゴソゴソ。おびをはずし、1枚、着物をぬいだ。2枚目も? 「え」良幸はあせる。姉や明利のパンツだって 見えたら怒られた。 たとえキューピーのようにかわいいお胸でも 下着姿は『見てはいけない』いや、昔の女子はパンツをはいてない。そこまでは知らない良幸だが 相手はお姫様だ! 「そ それ以上ダメ」 「コレ 変な想像するで無い!ちゃんと下に小袖(こそで)を 着ておるわい」  昔の姫は 重ね着と知り ホッとする良幸。花姫が 着かえ終わるまで 良幸は紳士(しんし)に後ろを向く。  雑草で父からは見えないのは救いだ。父上は着物など無関心。  花姫の着物は赤から青へ ハデな花もようが薄い色の小花をちりばめたガラに変わった。 「見て」花姫は かわいい町人に変身! 「わ~お。いいじゃん」 「お忍びじゃ。町民といっしょに遊びたいのです。姫と感づかれてはまずいであろう」花姫は口止めをする。 「OK。わかった」  姫と分からない方が安全だ。祭りの会場へ走る2人。  祭り場は 人がいっぱい。神社には 屋台でなくムシロを引いて物を置く店(フリーマーケット)がたくさん 出ているだけだった。それもお金でなく 物々交かんが多い。良幸には 映像のように見え 参加できない。  良幸は 祭りを一通り見て満足。後は宝を返す方法を気にする。 「あのお宝は この人たちに返すんだよな。どうやって返す?」 「後じゃ 後じゃ。後で考えよう。姫はあれが食べたい」と あんころもちを指す。 「じゃ ここで待ってる」良幸は神社のかい段にこしかける。  花姫はあんころもちに向かって走る。
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