第3章 宝物を町民に返す物語

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 良幸は待つ間 町民に宝を返す方法を考える。 「お宝をほったのは今だ。今ほった宝は昔の人に返せないじゃん!どうしよう。昔の人がたくさん税金を取られたのに、今の人に返すのは変だ」  昔の宝物を今返すと どうしても時代が合わなくなる。  父上は神社のお堂のかげから良幸を見て 「まじめな子じゃのう。横取りは浮かばんのか」  花姫は あんころもちを2個持って もどる。 「かんざしと交かんしました。はい どうぞ」  あんころもちを差し出すが 良幸には食べられない。 「では私が食べてあげます」と 2個も食べる花姫。  祭りは神輿(みこし)の行列や 演芸でにぎやかになり、2人は町人といっしょに おどりも楽しんだ。  良幸は遊びながら宝を返す方法も考える。神社のさいせん箱、清めの水、千年の木・・・ピンとこない。  でも 宝当てゲームの店で「ピーン」と来て、立ち止まる良幸。 「姫、昔の町の人に 宝探しはどうかな?」 「え?」花姫も 興味をもつ。 「まず 宝箱は この町の役場に置いて来て」 「ああ 先に見た白い役所小屋か。それで?」 「今ほった宝箱は 昔の人に返せないから、今の人にあげるの」 「それでは不公平では?昔の人が気の毒では?」 「そう昔の税金を はらい過ぎた人が かわいそう。だから宝さがしで夢を見させるの」 「う~む、宝もないのに?ダマシでは無いか?」  「母上の手渡した金貨があるじゃん」 「あ~ ぬいだ着物の中じゃ。それをどうする?」 「ボクは昔のお宝はさわれないから 姫がかくすの」 「私がかくして 町民が探すのか。おもしろい」 「見つかったら得。見つけなくても 一生 宝探しの夢が見られる。宝箱は町役場が 子孫のために使うの」 「良いのう。宝か?夢か?子孫に財産か?どれも希望がある」
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