第3章 宝物を町民に返す物語

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 こんどは昔の金貨をさわれるのは花姫だ。  花姫が金貨をうめて、宝探しの準備をするしかない。  良幸は初めてのお兄さん気分。 「まず この辺にうめよう。姫、ほれるかな?」   花姫は小さなシャベルを持ち 土にさす。 「おー ほれるわい。小さいのにすごい道具じゃの」  姫はシャベルに感心。サクサクほる。 「そうそう そこに金貨うめて土をもどすの」 「姫はこんな遊び 初めてじゃ」  砂遊びを知らない花姫には 楽しすぎ。  早く見つかるよう雑に金貨をうめ 足でトントン固めてかくす。  かわいい妹分をほめる良幸。 「よしよし もう分からない」  花姫は 喜んで2つ目もうめる。   タイコの音楽が聞こえた。 「ドーン、ドーン、ドンドコドンドン」  ふり向く花姫。 「しばらくは誰も祭りから動かぬであろう」 「そうだね。かくすの見られなくてすむ」  良幸はほりやすい所を次々探す。並木道の木の下。大きな石の後、花畑のあぜ道。  花姫は次から次へ 母の金貨をうめる。金貨が減るごとに「母上が井戸から出られる」願いが かなう気がする。  小川の散歩道には『犬のフン禁止』のはり紙。 『犬の穴ほり禁止』とは書いて無い。良幸はいたずらも楽しむ。  「花さかじじいの犬にも ここほれ ワンワンさせよう」  後を付けた父上が聞きまちがえ 『花姫 じじ犬と 心ほれて ワンワンせい?』何たる護衛官じゃ。けしからん」と かんちがいして カンカン。  良幸は にらむ父上など 全く気づかない。
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