第3章 宝物を町民に返す物語

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 2人は 宝箱をかくした場所に急ぐ。途中で「あれ?」と立ち止まる。  物置小屋が また祭り場に 近づいていた。 「完全に後をつけてるー」笑う良幸。  小屋もカタカタ笑い、姫もほほえむ。 「やっぱり神様の使いね。ふしぎな小屋さん」  小屋がドアをギィーッと開けた。  良幸はふしぎの小屋に入り 宝箱の乗った手押し車を出す。  花姫はお姫様の着物に着がえて小屋を出る。 「ふしぎの小屋、どうやって動くのかな?」  2人は小屋を振り返りながら 栄町の役場に宝箱を引いて行く。  でも 父親が後をつけると 小屋は追いこせない。そんなことしたら 常識ある大人は 頭が迷ってしまう。  小屋は動かないまま 子どもたちは町役場に着いた。  町役場はシーンとして 誰もいない。  良幸は手押し車から宝箱をおろし 町役場の入口に置く。 「ここに置いて帰ろう」 「でも置くワケも書かなくては 役人に分かりませんことよ?」 「そうだね」  良幸は町役場のポスターをはがし、白い裏紙に コンビニで買ったサインペンで書く。 「町民の皆さま。大昔に納めすぎた税金を返します。宝物もどこかにかくされています。探してください 今の石川ゴエモン」  その紙を宝箱のフタに ぶら下げる良幸。  花姫は なっとくいかず! 「これでは 逆にぬすまれてしまいませぬか?」  それはまずい!最後はきちんとしないとね。  かくれている父上も思う。 『あの坊主、欲が無さ過ぎ!ぜったい花ムコには向かんな』
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