第3章 宝物を町民に返す物語

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 2人は 手押し車の所にもどる。でも 何か変!  あのふしぎの小屋が 町役場のとなりにくっついて こっちを見てる感じ。 「来てくれたの」  良幸と花姫が 手押し車をもどしに、ふしぎの小屋に入る。 「もうこれで終わったよ。ありがとう、ふしぎの小屋さん。でも どうやって動くの?」良幸が聞く。 「足が無いから飛ぶのではないか?」花姫は正解。  でも物置き小屋はしゃべれない。「ギシギシ」  良幸が残念そうに言う 「ぼくたち帰らなきゃ。飛ぶとこ 見たかったな」  ふしぎの小屋には分かった。  小屋は 中に2人を入れたままフワッと浮く。風に乗って屋根の板をピアノでもひくように 羽ばたかせた。 「ワーッ」「キャー」中の2人はおどろく。  物置小屋にきていた父上も 風で浮いてびっくり。 「な 何だ?竜巻(たつまき)か?」と あわてて物置小屋にしがみついた。  物置き小屋は 父親が見えず トンビのようにグルリと回りながら城の方へ飛んだ。  中の2人も大きく回り、ふしぎの小屋は気流でガタガタゆれた。2人は床から転ばぬよう こうし窓につかまった。空から 光るお城に近づくのが見えた。 「うわあ 鳥になったみたい」     ふしぎの小屋は城の門よりだいぶ手前で 2人をそっとおろす。  父親もあわてて手を放し 小屋から必死ではなれた。下じきでペチャンコになっては大変ですもの!
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