第3章 宝物を町民に返す物語

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 ふしぎの小屋のドアが開き 良幸と花姫は外に出る。  宝返しも終わり、2人は残念そうに 小屋に別れを告げる。 「いろいろサンキュー。楽しかったー。バイバイ」 「さようなら小屋さん また遊びましょう」  まるで人と別れるように手をふる2人。  ふしぎの小屋も「バイバイ」音を立て 屋根を羽ばたかせて浮くと、別れをおしむようにクルリと回って 元の所に帰って行った。  良幸は 物置小屋のふしぎが『幽霊の力』だと思った。 「すごいね、花姫さん。小屋まで飛ばして」 「何を 言っているの?帰らなきゃと言ったのは あなたでしょ。私は早く帰りたく無いわ。ふしぎの小屋さんは あなたの願いを聞いたのでは?」 「ボクの考えが分かるの?すごい物置小屋だね」  分かって無いのは良幸かも。  花姫には初めての事で『良幸が 何かふしぎな力を持つ人』だと 感じた。  恋する花姫は 霊能力で飛ぶより ゆっくり歩きたい。良幸の手をとり 甘える花姫。 「後は あいびきですね。良幸さま~ んふ」    後ろから 突然、父上の声! 「こら~」父上は2人の前に現れ「門限じゃ。門限じゃ」 「父上また 後をつけてきたな」 「いやいや、待っていたとこじゃ」父上はウソも大声だ。  さわがしい声で 母上まで みんなの所へ やってくる。 「あなた いいかげんになさいまし」 「お 奥方」 「私は この子のおかげで月に3日間、井戸を出られることになりましたのよ。ありがとうね。こんな良い男の子なら 花姫が婚約前に 遊んでも良いではないですか。相手はまだ子どもですよ」
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