第3章 宝物を町民に返す物語

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 母上は良幸に味方してほほえむ。 「母からすると まだ 子どもですよ。ママを喜ばせたいのです。かわいいじゃありませんか」 「まー バカな子ほどかわいいっちゅうからのう」  子ども子ども 言われると ちょっとしゃくな良幸。でも中学生はまだ大人でもない。  昔の男の子は12~16さいに 元服(げんぷく)という大人になる行事をする。今の成人学生より しっかりしている。  父上には良幸が 全くたよりなかった。でも良幸を 子どもと思うとシットも消え、  『このバカ坊主 何とかせねば』と 良幸に勉強の仕方まで教える。 「初めに試験をやって 2度目は 同じ試験をやって、満点にすれば かしこくなるぞ」 「ああ、2回やれば百点になるね」 「いいか頭は使えよ。物は使ったら減るが 頭は使っても減らんからな。子どもは頭を使えば使うほど頭が良くなるのじゃ。ケチるでない!」 「そうだねー。おじさん、かっこいいし かしこいし、見習わなくちゃ」 「そうか、よし 少しはましになったな」  父上はおだてに弱いようだ。顔がにこやかになった。  母上は「男の子もいいわねー」と うっとり。  父上は「しかし花姫のムコは別の男じゃ」と シット。 「そりゃー結婚の話でしょう。恋人は何人でも良いではないか」 「何を考えとる!」 「富士丸様はたとえムコになっても人質です。きっとこのように気楽な子ではありません。それにこの子は 平之助や私の魂を救ってくれた 霊界の救世主(きゅうせいしゅ)ですわよ。感しゃしなくては」  父上は良幸を見て言う。 「頭の悪い救世主じゃのー」 「そこは この子の将来に期待して・・・」
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