第1章 花姫の母上の願い

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 寄り道しなければ早いのに、子どもにはゆうわくも多い。  花姫は道草してきれいな花をつみ 花を知る。 良幸は火の見ヤグラに登って 危険を知らせる鐘(かね)を打つ。「カンカンカン」  良幸は花姫に「西橋が見えるよ」と 知らせ、おりた所に「立入禁止」の文字。「やばっ」  2人は 店のお菓子や人形ものぞく。預かった金貨は使えないので のぞくだけ。  目的にそった寄り道なら 今度行く時は 思い出をたどって楽に行けそう。  最初の目印地点「西橋」に着いた。  川の中から魚がピョーン、バシャッ「魚が飛んだ!」 橋の上から 良幸が菓子を投げると魚が寄って来た。  花姫が花を少し投げると 風で花が飛んで 西橋の先に引っかかった。  「花が さっさと行けってさ」 「はいな」    橋を過ぎて 良幸は地図を見る。  でも 漢字が読めない! 「柳ノ並木道ヲ通り」「崖ノ下ヲ曲リ」「洞穴ヲ抜ケ」「南西ノ指示スル斜メ松ヲ探セ」?  昔の花姫の方が 漢字を読める。 「ヤナギの並木道を通り」 「ガケの下を曲がり」 「ドウクツがある」 「これをぬけて南西のナナメ松を探すのよ」  年下の花姫に教わる良幸。  さっそく2人は地図通り行き、洞穴(ドウクツ)に来た。  穴の中は暗くて恐そう。  良幸は用心に まっすぐな木の枝を拾う。  2人は手をつないで 穴の中に入る。チビの2人なら立って歩けるほど大きい。  洞穴の中はゴツゴツして 先は真っ暗。探りながら こわごわ歩く2人。   いきなり 何かが「バタバタ」飛び立つ! 「ギャ」2人が叫ぶと「ギャアアアアァ」と こだまがひびいた。  良幸は恐ろしくて 木の枝をふり回す。  「恐い」花姫は良幸にしがみつくが 体はだけない。  目が暗やみになれ、飛ぶのがコウモリだと分かると 少し安心。逆にコウモリが人を恐がって 逃げ回っていた。
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