14人が本棚に入れています
本棚に追加
何処までも続く高速道路のコンクリート壁。
時折その隙間から見える景色は様々だ。
無機質なビル。
流れる河川。
畑や公園。
それらは、あっという間に視界から消え、また新しい景色を目に映す。
「ふぁ…」
飛行機の長旅のせいか、あたしの瞼が重い。
睡魔に襲われる中、ハワイでの学校生活が脳裏を過る。
みんな楽しそうにお喋りしてる。
だけどあたしは輪の中に入れないでいた。
自分は日本人の血が濃いからだろうか…変に壁を作ってしまう。
だからクラスメートと打ち解ける事が出来なくて…
白人の中には差別的な態度を取る子もいた。
そんなだから、あたしは親しい友達も作れず、もうすぐ16歳になる。
こんなあたしが日本の高校で上手くやれるとは思えない。
「家に帰りたいよ…」
満員バスの中、涙声が漏れてしまう。
日本に来たのは初めて。
お祖母ちゃんに会ったのだって赤ちゃんの頃。
お祖母ちゃんはあたしをマヒナだって分かるだろうか?
どんな人なんだろう?
何もかもが初めての生活。
緊張と不安で今にも心臓が破裂しそう。
こんな事で人見知りが治る訳ない!
むしろ悪化しちゃう!
鬱々とした気持ちのまま、あたしは睡魔に完敗。
微睡みに落ちた。
最初のコメントを投稿しよう!